Inner Tide

21絃箏ソロ (21-string koto Solo)

この曲を委嘱して下さった藤川いずみ氏は、箏奏者として、ベースの熊本を中心に、東京をはじめとする日本各地、そして海外においては、特にオーストラリアで度重なる演奏活動を展開している。その心に響く絃の音は、多くの人々に「新しい楽器」としての箏の魅力や可能性を伝えると同時に、海外では、異文化交流や異文化理解の場において、大切な役割を果たしてきた。けれども、藤川氏の音楽に対する深い洞察、真摯な姿勢は、それ以上のレベルにおいて、人々の心を魅了し続けてきたのである。それは文化的背景の違いといったものを飛び超えて、普遍的な領域へと突き進むエネルギーが聴衆に伝わったためだろう。「Inner Tide」(日本語題:内なる潮流)とは、そういった旅する演奏家に贈る音楽であると共に、聴衆のための旅する音楽である。時には穏やかな、時には激しい潮流のイメージは、国と国との間を自由に行き来する心、分け隔てのない人間の心を表現している。曲の後半には、「tide song」(潮の歌)という部分があり、数十秒間にわたって、比較的緩やかなテンポで演奏される。これは、私が以前、住んでいたハワイの伝統歌唱の音列にインスピレーションを受けて作曲した部分であり、全ての人間の「Inner Tide」の奥深くに静かに漂う「心の平和」を象徴している。平和を覆すような現実社会の連続の中に置かれたとしても、それでも尚、心の奥深くにある真の静けさを失わずにいたい。この曲が、人々の交流の場をより熟成されたものにするために用いられる事を心から願う。

Inner TideInner Tide

“Inner Tide”を含むCD”藤川いずみ 箏による新作初演 I”は純邦楽CDショップHOWにて取り扱い中。

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